営業の世界では「種まき」という表現を使う事が多々ある、要は見込客承認を実現する為の行為であるが、このフェーズは今や会社の責務、マーケティングの責務ともいえるフェーズである。
もし、現在も当該フェーズを営業職自身が実施されておられるとしたら前述したとおり会社としてのスタンスを疑うが、それでも営業職に任せてる会社も多くあると思う、その場合は個人で過去の名刺交換した方にメールマガジンを送付したり、企業のホームページの問い合わせサイトに営業的な問合せをかける等の方法もあるが、リード(見込み客)として承認頂けるのはわずか1%程度だと推察する、それより昔の「飛び込み営業」の方が数値的には高いかもしれない。
ここでは、ChallengeからOutlook、そしてBaseへと案件を進めていく方法を伝授させて頂きたいと思う。
Base案件が多いに越した事はないが、通常はChallenge案件が一番多く、次にOutlook案件がそこそこあり、Base案件が少なくなるのが一般的である。
私が第1線の営業職時代はセル・サイクルの下方修正は絶対許されなかった、要は一旦Baseと申告した案件は何が何でも成約に導く必要がありその案件はClose(成約)するかLoss(失注)するかの2択しか許されなかったが、私の営業管理職時代はLoss(失注)するよりかサイクルを一段下げる場合も認めていた。いずれにしても、最終目標はClose(成約)なのである。
先ず、Challengeとは「問い合わせが来た見込客」「これから提案しようとしている見込客」「過去のイベント・セミナー等で取集した見込客」等まだまだ先が読めない見込客のサイクルである、その案件をOutlookへと醸成する活動が営業活動なのである。最近一部の企業では「インサイドセールス部隊」を設置してChallenge案件を電話活動で醸成してOutlookサイクルから営業職が担う体制を敷いている企業も増加してきている。
この手法は非常に効率が良いと私は思っている。
Challengeサイクルの見込客は玉石混交(必要な玉や不要な石が入り混じる)であり、先ずは「玉」を探す事である。では「玉」はどうやって見分けるか、ここに最も大切な要因がある、それはお客様に予算があるかどうかである、要はお金待ちかどうかが非常に重要である、特にあなたの扱っている商材・サービスが高価であればあるほど重要となる。
予算(お金)が無ければ絶対購入して頂けない。
でもいきなり予算はありますか? お金もちですか? 等と聞く事はできない。そこで重要になってくるのが企業分析である。上場企業であれば公開されている財務指標である程度読み解けるが非公開企業は全く難しい。あなたの商材やサービスが個人相手の場合は更に難しくなる。
というのも企業においての裕福度は大抵オフィスの構えや会議室、応接室の調度品で推測する事がある程度可能であるからである、しかしながらオンライン面談等では推察する事が難しい。
私はその企業や個人に製品やサービスを購入する余裕(予算)があるかどうか判断する手段として用いたのが最初の面談時、最後に必ず「概算費用(見積り)」をお見せする事にしている、定価のある商材やサービスではパンフレット等に記載されてる場合もあるが、提案型の商材やサービスでは必ず明記する事をお薦めする。
提示した見積りや価格をご覧になりその先の商談が消極的になった場合等はお客様にとっては「高根の花」なのかもしれないという見極めが重要である。
「高根の花」と思われた場合の相手の表情や会話内容等を敏感に感じ取る必要がある。
ただ、そこで全く可能性が無くなるとは早急に判断すべきではない、当該商材やサービスがお客様にとって意義があり「投資対効果」の効果が見いだせれば予算は捻出して頂ける事もあるからである。
一番肝心な部分で確信が持てれば次に進もう。
あなたの商材・サービスにお客様がマイナスな意見ばかりを申され、それに対してあなたがカウンターを返しても更にマイナス発言が消えない場合、この案件は無理に進める事は止めた方が得策である。無駄な時間となってしまう事が大半である。
ここで重要なのはあなたの商材・サービスを認知頂き、検討に値する商材・サービスだと承認頂く事である。ゆえにこのサイクルではお客様の承認を得る事に尽力頂きたい。
そこで、お客様にご承認頂けたと確信して、お客様より「宿題」的な依頼が発生したらかなり有望である。仮にそのような依頼が無くとも先ずは良しとしよう。
ここで明確にChallengeサイクルの案件がOutlook案件へと醸成するのである。
次にOutlookからBaseに醸成する為にはやはり一番重要なのはお客様のご予算確保が可能かどうかである。通常企業の場合、大抵は稟議プロセスがあり、交渉相手が代表取締役様や権限ある役員・事業部長様以外の場合は当該プロセスは無視できない。
相手が個人の場合は勿論稟議プロセスは無いが、家族の承認等も発生する。購入資金があるかは一番重要な部分である。
その次に重要なのがあなたの商材・サービスをどう思っておられるかの確認行為であり、まさに購入意思の確認である。
迷われてる場合、その迷いを解決して差し上げるのが極めて重要である。Outlookサイクルでは既にあなたの商材・サービスは承認されておられるのであるから次は購入の意思確認実現の為の障壁を取り払う事である。
ここで重要な点が、あなたの商材・サービスをご購入頂く事でのメリットや変化、がお客様にとって必ずやプラスに働く事を訴求する事である。その際には、あなたの誠意・信頼・対応速度を明確にする事を忘れずに頂きたい。
お客様があなたの商材・サービスをご承認頂き、自ら購入意欲を示され稟議に回すという言質を獲得できたらBase昇格である。
最後にBaseサイクルに醸成できたとしても油断は禁物である。最近は昔と違い、必ず似た様な商材・サービスの相見積りを取り比較検討される事が一般的である。既存顧客ですらその様な対応を取られる企業や個人が通例となっている。
そこでBaseサイクルで重要な点はお客様へのフォローである。稟議プロセスにおける資料提供や作成に関しても積極的にお手伝いやご支援を惜しまない事である、それをする事により競合他社よりもあなたの商材・サービスを一押しして頂ける事が期待できる。
私の経験では多くの営業はひとたびBaseサイクルに案件が醸成できたら安心してフォローもせず、ただ結果を待っている。それではLossする確率も高まる。
やはりしつこくならない程度に状況を伺い、お手伝いや提案内容の修正が必要か等、まめに確認する事を忘れないで頂きたい。
今迄述べてきたとおり、営業職としてがむしゃらに成約を求めて提案活動をするのではなく、数値目標達成の為に計画的な活動をされる事をお薦めする。
ポイント10
一、セル・サイクル管理を徹底する事で、案件のフェーズを明確にして、
計画立った提案活動をするべし。
一、お客様は予算を保持されてるか?もしされてないなら予算措置が可能か?
常に購入意思の前提となる状況を確認する。
一、Baseに位置づけた案件をただお客様からの返答を待つのではなく、
可能な限り支援をする事を忘れずに。